クァン・ホン・ルーによるピアノリサイタル「時を遡る水の流れ」が11月20日(木)、パルテノン多摩小ホールで開催される。午後7時開演(6時30分開場)。

ショパン国際ピアニスト・コンクールでアジア人として初めて優勝したベトナム出身の国際的なピアニスト、ダン・タイ・ソンが認めた才能を持つピアノの詩人、クァン・ホン・ルーによる日本初公演。多摩市、パルテノン多摩小ホールに登場する。

ベトナムとオーストラリアの国籍を持つクァン・ホン・ルーが、時を遡る水の流れを描く三つの作品、ラヴェルの『海原の小舟』から、リストの『ヴェネチアとナポリ』、そしてシューベルト『ピアノソナタ第21番』を演奏する。幻想的な水の風景から魂の内奥へと誘うプログラムを独自の繊細かつ情熱的な音色で奏で、聴き手を心の深みへと導く。

チケットは一般:4,500円(税込)、学生:2,000円(税込)、全席自由。未就学児不可。購入はパルテノン多摩チケット販売(受付時間10時〜19時・休館日除く)、イープラスほか。

問合せはKAZELFA株式会社【電話】042-372-8860

公式ウェブサイト


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赤松林太郎先生からの推薦メッセージ

クァン・ホン・ルー氏とは、今年ハノイで出会いました。ベトナムを代表するダン・タイ・ソン門下の俊英と伺っていましたが、音楽について語る彼の姿からは、まさに音楽とともに幸福な人生を歩んできた人であることが伝わってきました。私はその語りを聞きながら、ふとバイロン卿の詩を思い浮かべたほどです。

このたび彼が来日公演を行うと聞き、ひとりでも多くの方に彼の感性に触れていただきたいと願っています。

《超絶技巧練習曲集》を収めた彼のCDは、控えめに言っても現存する録音の十選に入れたい名盤です。リストにとって「超絶技巧」とは幻想を描くための手段でしたが、ベトナムの魂を宿す彼の筆づかいは、リスト芸術の新たな地平を切り開いています。それは私にとっても不思議な体験でしたが、時代や価値観の変容を先取りしていたリストの音楽だからこそ、彼の天性によって新しい姿に生まれ変わっても、その魅力はいささかも損なわれることがありません。

クァン・ホン・ルー氏は、美に奉仕する現代の詩人です。聴き慣れた旋律の中に、きっと新たな感動を見いだされることでしょう。