2021年5月22日に開催されるソロ・リサイタルに先立って、演奏者の丸山佳織氏にインタビューで今の想いを語っていただきました

― 丸山さんはソロでの演奏も含めこれまで数々のコンサートを行っていらっしゃいますが、今回のソロ・リサイタルは今までのものとどのように違うのでしょうか。

今回のソロ・リサイタルは、オーケストラや室内楽のコンサートは違って、ステージ上で自分にスポットライトが当たるソロの公演ですし、これまで数多くこなしてきたロビーコンサートなどとは違って、自分で全体のコンセプトを決めてすべてのプログラムを選曲して実施する初めてのリサイタルです。お客様もファゴットの演奏を聴きたいという意思を持たれた方々が来られるので、とても緊張すると同時に、気持ちの入り方もこれまでとは全然違います。

― ファゴットの魅力は一言では言い尽くせないかと思いますが、丸山さんご自身が一番魅力を感じているポイントはどこでしょうか。

ファゴットの魅力は今回のリサイタルの副題にもある通り「表現豊か」で、様々なキャラクターを演じ分けられることだと思います。フルートやサックスのようないわゆる花形楽器とはまた少し毛色が違うのですが、ソロで目立った格好良い役割も演じられるのと同時に、裏に回って対旋律・伴奏など、ピアノなどの他の楽器と混り合ったり、響きの彩を与える渋い音も出せるのでとても楽しいです。

 

― 今回のソロ・リサイタルでは、ご自身でプログラム全体の構成を考え演奏曲を選ぶ、というところに最大のポイントがあるかと思います。選曲のポイントや丸山さんの想いをお聞かせいただけないでしょうか。

プログラムの中では、エルガーのロマンスは5分程度の短い小曲ですが、ファゴットのために作曲されたオリジナルの曲目で、とにかく最初に聴いた時から、なんてロマンチックなのだろうと強い感銘を受けました。全体的にルバートがかかって歌い込む「うねり」をファゴットで表現できるのがとても好きです。演奏するたびに解釈も変わりますね。

メインの曲のサン=サーンスのファゴット・ソナタは、ファゴット(正確にはバソン)とピアノのために書かれた最高の名曲だと思います。最晩年に書かれたということもあって、サン=サーンスの多くの曲の中でもとっておきの素晴らしい曲だと思います。私は第3楽章が一番好きで、すごくシンプルな構成の中に、とても深い想いが込められていると思います。ピアニストを含めて、曲のシンプルさゆえに、演奏にはいろいろな解釈も出来、非常に迷うところも多く、怖い曲でもありますね。また第1楽章の冒頭部がとても美しく、ピアノがキラキラと空の上の世界を表す中にファゴットが一本の光を描いて上っていくイメージなのです。

― ありがとうございました。ファゴットの新たな魅力が発見できそうなプログラムですね。当日が楽しみです。

リサイタルの詳細はこちら
公式ウェブサイト「丸山佳織ファゴット・リサイタル 東京公演2021」